BLOG & INFO

まずは毎日のお米をおいしく|洗い米からはじまる、ごはんのある暮らし

ごはん

「毎日ごはんを炊きたい」

そう思っていても、お米を研いで、浸水して、炊いて、蒸らして、余った分は冷凍する…そう考えると、実際の暮らしの中では少し面倒に感じてしまうこともあるかもしれません。「ちゃんとやろう」と思うほどハードルが高く感じたり、パンや麺類の手軽さについ手が伸びてしまったり。

でもその一方で、最近はグルテンフリーへの関心も高まり、「やっぱりお米を食べると落ち着く」と感じる人も増えているように思います。炊き立てのごはんに、なんとなく心も体もほっとするような魅力を感じることもありますよね。

私自身が毎日のごはんづくりについて悩んでいたときに知ったのが、料理研究家の 土井善晴先生が紹介されていた「洗い米」(あらいごめ)でした。洗い米を知ったことは、私の家事人生の大きな転換期でした。大げさではなく、その日から毎日のごはんがおいしく、料理が楽しくなったのです。ごはんがおいしくなると、料理に少し自信が持てるようになり、気づけば台所に立つことが前よりも身構えずにすむものへと変化していました。

洗い米とは?

洗い米とは、お米を洗ったあとザルにあげて水を切っておく方法です。水の中につけて浸水しなくても、米粒のまわりについた水分をお米がゆっくりと吸っていき、自然に吸水してくれます。昔からある日本の炊飯方法のひとつだそうです。

水につけるということは、乾物であるお米にしっかり水分を吸わせる工程であると同時に、雑菌が繁殖しやすい環境をつくることでもあります。お米は、パンや麺類のように塩分や油分を加えず、「お米と水」だけで味わう、とてもシンプルな料理です。だからこそ、水につけることなく米粒に水分を吸わせる。できるだけ味を損なう要素を減らすことが大切なのだそうです。

もちろん、長くザルにあげすぎると乾燥してしまうこともあります。なので、すぐに炊き上げない場合は密閉できる保存容器に入れて冷蔵庫へ。翌日まで保存することができるので、朝のうちにお米を洗って冷蔵庫へ入れておき、夜帰宅したらそのまま炊飯器へ入れたり、多めに洗い米を用意して翌日に活用したり。ライフスタイルに合わせて工夫することができるのも魅力の一つです。

昔ながらの方法にたちかえるだけで、「今日はごはん炊くの面倒だな」がかなり減ったことが私には驚きで、10年以上続けています。

計量
Screenshot

洗い米の基本の方法

材料

  • お米:2合
  • 水:適量

① お米を手早く洗う

最初のお水は特に手早く流します。お米は乾物なので、最初に触れた水をよく吸います。ぬかのにおいを吸わないようにするため、濁りの多い最初のとぎ汁はすぐに流すようにしています。とはいえ最近のお米は精米技術が向上した影響で、以前ほどぬかがついていません。なので、「研ぐ」というより、「洗う」感覚でやさしく扱う程度がちょうど良いように思います。米粒がつぶれたり削れたりすることがないように扱います。

② ザルにあげて水を切る

洗ったお米をザルにあげ、水を切りながら吸水させます。米粒が半透明から白っぽく変化したら、水を吸った証拠です。前述のように、すぐに炊かない場合は保存容器に入れて冷蔵庫で保存します。

③ 炊飯するときに水を加える

吸水を終えた米粒は、水分を吸った分だけ大きくなります。炊飯時に加える水分量の目安は、吸水後の米の「体積と同量」が基本。これ、実は中途半端なお米の量でも水分量がわかるので、とても便利です。計量カップが見当たらなくても大丈夫。お米をといで、吸水させて、お水をすったお米を何かの器で計量したら、それと同じ分のお水を加えればよいのです。もちろん好みに合わせて、少しずつ水分を調整し手も大丈夫です。

④ 炊き上がったら蒸らす

炊き上がったら、すぐに蓋を開けず10分ほど蒸らします。この時間で、お米の中の水分や熱が全体に落ち着いていくので、蒸らす時間もとても大切です。

⑤ さっくりほぐす

蒸らし終えたら、下から返すように、米粒をつぶさないよう気を付けながらほぐします。蒸らし時間が長くなりすぎると、ふっくらとした炊き上がりが損なわれてしまうので、10分程度でほぐす工程も大切です。ごはんソムリエの資格講習で、この「ほぐす」工程は、人の手だからこそできる、ごはんをおいしくする大切な時間だと教わったことが今でも心に残っています。

ほぐす

おいしいごはんに特別な道具はいらない

おいしいごはんを食べるために、必ずしも高級なお米や土鍋が必要なわけではないと思っています。もちろん道具をそろえることも楽しいけれど、毎日のごはんで何より大切なのは、お米をやさしく扱うこと。これは「丁寧に心を込めて」といいたいのではなく、米粒をつぶさないことや米粒の様子をよくみること、私はそれだけを意識しています。研ぐときも、ほぐすときも、盛り付けるときも、米粒をこわさないように。

お米は「粒食」とも呼ばれ、そのおいしさは甘みだけではなく、食感も大きいと言われています。だから最近は、「研ぐ」というより「洗う」感覚でやさしく手早く。

そして、お米は乾物。だからこそ、しっかり水を吸わせることも大切です。お米は基本的に「お米と水」だけで調理するもの。シンプルだからこそ、水も調味料だと考えながら扱うことで、炊き上がりが変わるように思っています。

洗い米を始めてから、ごはんが「ごちそう」になった

以前は、おいしい料理を考えようとすると特別なメニューをがんばらなくてはいけないように考えていました。でも今は、炊き立てのごはんがあるだけで十分うれしい!ごはんがおいしいと、不思議と幸せになるし、シンプルなおかずでもなぜかごちそうに思える気がするのです。ごはんが主役になってから料理や献立がどんどんとシンプルになりました。

おいしいごはんが余ったら

余ったごはんを冷凍するときは、湯気ごとふわっと包むようにしています。ふんわりと水分と一緒に冷凍すると、温めなおした時もおいしいまま。

おひつやわっぱ弁当など、なんとなく丁寧に扱わなくてはいけない気がして長らく憧れだけで終わっていたアイテムも、ごはんを中心に食卓が回るようになってから、実は水分を調整してくれる便利な道具なのだと知りました。ちょっと料理上手っぽいアイテムが身近に感じられるようになったことも、料理が楽しくなるきっかけになりました。

「ちゃんとしなきゃ」ではなく、「手を抜こう」でもなく、お米のことをシンプルに理解して少し工夫すると、毎日のごはんはもっと楽しくなるのだと洗い米から学びました。

まずは毎日のお米をおいしく

特別な料理を作ろうとがんばる前に、まずは毎日のお米をおいしくする。それだけで、毎日の食卓づくりの身近さや楽しさは少し変わるように思っています。

もし「ごはんを炊くのがちょっと面倒」と感じていたら、ぜひ一度試してみてください。毎日のごはんが、少し楽しみになるかもしれません。

おひつ

この記事の著者

ひかる  

2児の母。慶應義塾大学卒業後、企業勤務を経てレシピ開発・執筆に従事。生産者取材を通じ食の背景と体験の価値を探究。現在は東京都日野市で「おこめとおだしのある時間」を主宰。育て、つくり、味わう体験を通じた学びの場づくりをしている。

コメントは受け付けていません。

プライバシーポリシー / 特定商取引法に基づく表記

Copyright © 2026 浅野 ひかる All Rights Reserved.

CLOSE