BLOG & INFO

シンプルで無理のないおうちごはん―昔ながらの日本の智慧に学ぶ「一汁一飯」

朝昼晩――献立を考え、買い出しに行き、台所に立ち、つくって、食べて、片付ける。今は便利なサービスが増え、中食や外食を選ぶこともできます。それでも、仕事や家事、家族のこと、体調や経済的な事情など、さまざまな要素が重なる日常の中で、「毎日食べていく」ということは、思っている以上に大きなものだと感じます。

私自身も、どうにか楽にならないか、どうにか余裕を持てないかと、長い間考えてきました。そしてたどり着いたのが、「一汁一飯」というスタイルです。どんなときでも、何度繰り返しても、炊き立てのごはんに思わずうれしくなったり、おみそ汁の湯気にはほっとしたりしませんか。ごはんとおみそ汁には不思議な魅力があると思うのです。

そう気づいてからは、何かを効率化したり、無理に足したり省いたりするのではなく、目の前のシンプルな「ごはんとおみそ汁」を大切にしたいと考えるようになりました。一日に一度だけでいいから、生活の中で少しスローダウンする瞬間をつくり、おこめをとぐ、炊く、食材を切る、汁ものをつくる、そのときの自分にとって「おいしい」味にする。そうすることで、無理なくその日のごちそうがつくれるのです。

日本の食卓で古くから続いてきた「ごはんとおみそ汁」の食事は、「一汁一飯(いちじゅういっぱん)」と呼ばれます。豪華ではないけれど、そこには米、出汁、発酵といった、日本の食文化の智慧が詰まっています。

この記事では、私の日々の暮らしを心地よく変えてくれた「一汁一飯」とはどのような食事なのか、その魅力を紹介します。

一汁一飯(いちじゅういっぱん)とは?

「一汁一飯」とは、ごはんと汁もので構成される日本の基本的な食事のかたちです。ごはん・汁物・主菜・副菜で構成される「一汁三菜(いちじゅうさんさい)」を耳にすることが多いかもしれませんが、日々の暮らしの中では一汁一飯が無理なく受け継がれてきました。

お米を炊いて、季節の野菜やタンパク質を汁ものの中に入れる。シンプルだからこそどんなときでも続いていく、それが一汁一飯の大きな特徴です。

一汁一飯の豊かさ|シンプルなのに整う理由

ごはんと汁ものだけと聞くと質素な印象を持つかもしれません。でも、実際はとても合理的でバランスの取れた豊かな食事です。

  • ごはん:体を動かすエネルギー源
  • 汁物:野菜やたんぱく質をあわせて取り入れる
  • 味噌:発酵食品による腸内環境サポート
  • 出汁:うま味による満足感

シンプルでありながら体に必要な栄養を無理なく整えられる。旬をとりいれやすい。老若男女問わず自分自身にあった量に調整できる。一汁一飯の魅力はたくさんあります。

暮らしを整える、一汁一飯

料理研究家・土井善晴先生の著書『一汁一菜で良いという提案』に共感した方も多いのではないでしょうか。私自身もその一人です。毎日毎日おわることのない食事作りに悩んでいたころ、「まずは一汁一菜から始めてみる」というシンプルさにとても救われました。マインドフルネスを学び始めたタイミングとも重なり、先へ先へと急ぐことをやめて今ここに集中することの大切さにもつながるように思いました。

誰かにとっての「特別な料理」ではなく、今の自分や大切な人のために、旬の食材をとりいれて、少し丁寧にお米を炊く。それだけで毎日がごちそうのように感じられました。時間の使い方も、心のもちようも少しずつ変わり、続けることで体調にも変化がありました。

私にとって一汁一飯は単なる食事スタイルにとどまらず、暮らし全体を見直すヒントとなった存在です。

一汁一飯は、暮らしを見つめるはじめの一歩

一汁一飯という基本のスタイルを続けることで、さまざまな気づきがありました。

  • お米を炊くこと
  • 出汁をとること
  • 食材の状態をしっかりと見ること
  • 自分の心や体の状態に目を向けること

いつも何気なくしていたことも、内容をシンプルにして、心を落ち着けて「今ここ」に集中しながらすることで、ずいぶんと見え方が変わってきます。一汁一飯は、特別な準備がなくても今日からすぐに始められる食事のかたちです。忙しい日々の中でも、「食べること」、そして「その背景にあること」に少し意識を向けることで、暮らしは確実に変わっていくはずです。まずは、ごはんとおみそ汁から。自分のために、自分の心と体の声をきき、自分に寄り添う食卓をつくってみるのはいかがでしょうか。


このサイトでは、一汁一飯という日本の食文化を通して、「食べること・つくること・自分自身で感じること・暮らすこと」についてのアイデアを発信します。お米やおみそ汁や出汁、日本の食文化についても紹介します。

また、一汁一飯を体験できるワークショップ「おこめとおだしのある時間」も開催しています。子ども向け・大人向け・大人も子どももまざりあってワイワイと…とさまざまなスタイルで開催しますので、ご興味のある方はぜひご覧ください。

ごはん

この記事の著者

ひかる  

2児の母。慶應義塾大学卒業後、企業勤務を経てレシピ開発・執筆に従事。生産者取材を通じ食の背景と体験の価値を探究。現在は東京都日野市で「おこめとおだしのある時間」を主宰。育て、つくり、味わう体験を通じた学びの場づくりをしている。

コメントは受け付けていません。

プライバシーポリシー / 特定商取引法に基づく表記

Copyright © 2026 浅野 ひかる All Rights Reserved.

CLOSE