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一汁一飯について 一汁一飯

一汁一飯とは?忙しくても整う食と暮らし|佐藤初女さんの言葉から考える毎日の食卓

おむすび

一汁一飯とは?シンプルなのに整う食事

忙しい日々の中でも、食事の時間は必ず訪れます。でも、食事があと回しになってしまったり、おざなりになってしまったりすることは少なくありません。気づけば食事は「とりあえず食べるもの」になり、とりあえず「つくらなくてはいけないもの」になり、心も体もどこか整わない。

料理も食べることもすきなのに、余裕がなくて食事作りが重荷に感じる。そんなときに出会ったのが「一汁一飯」という考え方でした。ごはんとスープを中心にしたシンプルな食事。前から知っていたようでしたが、改めてひとつのスタイルとしてとらえると、不思議な魅力をたくさん併せ持つ、単なる食事のしかたをこえた暮らし全体を整える食事の形だと気づきました。

佐藤初女さんの言葉との出会い

一汁一飯を実践するきっかけは、大ヒットとなった土井善晴先生の書籍「一汁一菜でよいという提案」と、食を通してたくさんの方を救われた佐藤初女さんの言葉でした。

初女さんは、料理について大切なのは「心をかけること」だと繰り返し語っています。書籍『「粗食」のきほん~ごはんと味噌汁だけ、あればいい』では、

・ただ、ふつうに食事をするだけで、元気になる方がたくさんいる。
・「おいしい」と感じることが一番の栄養になるんだけど、栄養価のことばかり考えてしまって、肝心の「おいしい」という気持ちを忘れている人が多い
・私たちは食材の命をいただいているので、その命をできるだけ生かすことに心をかける。

などの、はっとするような言葉がたくさんありました。この言葉に触れたとき、「ちゃんと」作らなければいけないというプレッシャーが消えて、無理に特別なことをしようとしなくても、心持ちひとつで心も体も満たすようなごはんが作れるかもしれない、忙しくても、シンプルな食事になら心をかけられるかもしれない、と思えるようになりました。

味をみるということ

初女さんの考え方の中で、すぐに実践できて変化をかんじたことは、「味をみる」ということです。料理はレシピ通りに作るものではなく、その都度状態をみながら整えていくもの。私自身も実践する中で、味をみることを大切にして「ちょうどよい」その瞬間をとらえることが食事を大きく左右することに気づきました。忙しいときほど、味をみることは省きがちになりますが、味をみながら食材の変化や味わいに少しの意識を向けるだけで、なぜか料理の仕上がりや食卓の豊かさが変わるのです。

だしをとる時間は、暮らしを整える時間

だしをとることも同様です。難しい技術ではなく、素材がどの状態で「ちょうどよくなるか」をみること。時間や手間暇を丁寧にかけるというよりは、今、目の前にある食材や料理のプロセスにしっかりと目と気持ちを向けること。食材の状態と自分の感覚を観察しながら行う料理は、不思議と楽しく心地の良い時間になります。(私はここから、「今ここ」に意識を向ける「マインドフルネス」を学ぶことにつながりました)

忙しくてもできる一汁一飯の考え方

「忙しくて料理ができない」という声はよく聞きます。私も、毎日髪を振り乱しながら生きる中で、献立を考えて、買い出しをして、仕事や家事育児をして、…毎日台所に立つ時間が惜しい、もしくは「もっと時間の余裕があれば料理も楽しいのに」と思うことがたくさんあります。

でも、ふと一汁一飯の考え方を思い出してみると、不思議と「しなくてはいけないこと」が減ってシンプルになるのです。ごはんを炊く、スープをつくる。ミニマムの献立から始める料理は、不思議と少し工夫をしたくなったり、前向きな気持ちにさせてくれます。「完璧にすること」や「自分以外のだれかにとってのおいしい」を手放し、無理することなく自分なりの続けられる形を持つことで、日々に余裕ができるように感じています。

食べることは、心を整えること

一汁一飯を続けて感じたのは、食事が心の状態や身体の状態にに強く影響しているということです。最低限のごはんとスープを食べることで、気持ちもおなかも落ち着いて、他の出来事に心や時間を向けることができるようになったり、イレギュラーなことにも対応しやすくなったり。食事が単なる栄養補給ではなく、心の土台をつくる行為なのだと実感するようになりました。

「おいしい」と感じることの大切さ

健康や美容を意識するあまり、何を食べればいいのか、自分自身が何を食べたいのかがわからなくなることはないでしょうか。本来はおいしいと感じる体の反応に従うことこそが、その人自身の健やかさや美しさにつながるのではないかと感じるのですが、情報の多い現代の生活ではなかなかそれが難しいように思います。でも、だからこそ、自分の体が求めているものを、きちんと感じ取ること。「頭」で考えておいしいと感じているのか、「体」が求めておいしいと感じているのか、区別できる感覚を取り戻すこと。それこそが、結果的に体を整えることにつながるのではないかと思うのです。

一汁一飯は、特別なことではない

一汁一飯は、特別な技術や知識が必要なものではなく、料理するときや食べるときに、いつもよりほんのすこしだけペースを落として、食材の状況に目をむけて、自分の感覚にも心をむけて、無理をすることなく大切に時間を過ごすことのように考えています。こうした積み重ねが、暮らし全体を整えていくように思うのです。

現代の食生活は「足すこと」が前提になりがちですが、一汁一飯を通して最低限のものに心を込めて整えることを大切に、情報の発信ができればと考えています。

この記事の著者

ひかる  

2児の母。慶應義塾大学卒業後、企業勤務を経てレシピ開発・執筆に従事。生産者取材を通じ食の背景と体験の価値を探究。現在は東京都日野市で「おこめとおだしのある時間」を主宰。育て、つくり、味わう体験を通じた学びの場づくりをしている。

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